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2024-08-05 生物毒素・抗毒素

【第44回 阿蘇シンポジウム】ポスターセッション

2024年8月2日(金)、3日(土)に阿蘇シンポジウムが熊本城ホールで開催され、講座からは「ヒトの皮膚潰瘍および保護ネコから分離されたCorynebacterium ulcerans ST344クローン株のゲノム解析」のタイトルでポスター優秀賞を受賞しました。昨年に引き続き2年連続での受賞となりました。

 

Corynebacterium ulcerans (コリネバクテリウム・ウルセランス) は動物由来感染症に起因する感染症で、“ジフテリア”と近似の毒素を産生し、宿主はウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ハリネズミ、シャチなど幅広く感染報告されています。国内では2001-2020年に34例の報告があり、ほとんどが風邪症状を呈するコンパニオンアニマルのイヌやネコからの感染で、高齢者が感染した場合には重症化する率も高くなります。しかしながら、日本の感染症法ではヒトからヒトへの感染と重篤性が確認されているジフテリアだけが2類感染症に定義されています。

日本でのC. ulcerans感染症の適切な位置づけを確立していくために、国内の分布や菌の伝播性等の疫学調査などが重要です。愛玩動物の健康管理、感染経路確認や環境調査などC. ulcerans によるジフテリア様症状は引き続き注視すべき動物由来感染症と考えています。